ルールの選択は自分に有利になるようにするのが当然なのに
大リーグでは、試合が一方的な展開になった場合での盗塁やセーフティーバント、3ボールからの強振を自粛する「暗黙のルール」がある。
この「紳士協定」に違反すると、その打者や次打者が報復死球を受ける可能性が高い。
ところで、9日(日本時間10日)、WBC1次ラウンド、D組のメキシコ―カナダ戦で、故意死球をきっかけに大乱闘が発生した。両チームで計7人が退場。
ことのおこりは、6点リードで迎えたカナダの攻撃。先頭打者ロビンソンが初球に三塁へバント安打。
メジャーでは大量得点差の状況では禁じ手であり、メキシコ三塁手のクルーズが投手のレオンに当然のごとく報復を指示。
2球続けて体スレスレに投じられたところで球審が両軍へ警告を与えたが、直後の3球目、打席に立ったトソニの背中に直撃した。
ではなぜ、カナダが紳士協定を破ってまでバントを行ったのか。
それは、WBCのルールが原因だ。
1次ラウンドで同率チームの順位決定は、まずは当該チームの直接対決。それでも並んだ場合は、得失点率によって決められる。そういう場合に備えて、1点でもほしいのだ。
つまり、この乱闘は国際ルールと大リーグのルールの違いがもたらしたものともいえる。
ところで、同じことがTPPでも起きるのではないかと危惧されるのである。
TPPでは国内法は適用されず、TPPの条約が優先されるISD条項というのがあるからだ。
これについては、類似の参考事例がある。
少し前、カナダはアメリカの石油を輸入していたが、そのなかに有害物質があったため、その石油の輸入を禁止した。
すると、アメリカ企業はカナダ政府を訴え、なんと裁判で勝ってしまった。カナダ政府は賠償金を支払ったという。
どう考えても理不尽に思えるが、こういうことがTPPでも起きると危惧されている。
しかも、TPPの裁判ではアメリカ企業が圧倒的に有利になっている。
裁判が世界銀行(アメリカ政府の強い影響下にある)の傘下の団体によって行われ、かつ裁判が非公開で行われる、しかも一審しかないのだ。
さらに、この裁判は経済利益だけを重視する裁判になっているというのだから、もう何をか言わんやだ。
大企業の言い分に国家がいいなりになる事態を、安倍首相は本気で受け入れようと考えているのだろうか。
暗愚な首相をいただく日本は悲劇だ。