人は長いものに巻かれやすい
こういう諺があります。「大根の味噌漬けはできても、味噌の大根漬けはできない」。私が作ったものですけどね。
大多数のなかに少人数のグループが入ると、結局その小グループの特性は、次第に消滅していくということです。その小グループが大グループの特性を変えてしまうことはまずありません。
そこが組織変革の難しいところです。どんなに熱いハートをもっていても、多勢に無勢ということは避けられません。ではどうすべきか。
少数派はできるだけ多勢の人たちと交わらないようにすることです。力がつくまでは、できるだけ辺境の地にいて、力をつけることに専念すべきです。
だいたい、革命というものはそういうことで起きています。鎌倉幕府は辺境の地にいる東国の武将によってつくられました。
平家は、京にいて公家の風紀に馴染んでしまいましたね。これなんかは、完全に「大根が味噌に染まった」例といえるでしょう。足利政権も似た運命をたどりました。
江戸幕府があれだけ長い期間維持できたのは、江戸に本拠を置いたからかもしれません。当時としては辺境の地ですから。
辺境の地を使うことは、小数勢力にとっては非常に意味があります。まず、圧力が少ない。自分たちの好きにやれます。
新しいアイデアというのは優れた面があるわけですが、その反面欠点も多々あります。それをひとつひとつつぶしていくには、実践しかありません。
辺境の地では、実践をすることが比較的容易です。邪魔する人がいませんし、かりに失敗しても中央に知られることも少ない。どんどん実験ができます。
言うまでもありませんが、このことは政治組織だけでなく、企業の新組織にも言えることです。既存の組織から反発を受ける可能性のあることは、できるだけ秘密にして知られないところで、十分経験を積むことが大事です。
今では過去の栄光にすがっている日本ビクターですが、この会社はソニーや松下を越えて一時ビデオカメラで業界を凌駕しました。
このときの開発秘話は辺境の地の例そのものです。これについて詳しいことをお知りになりたいかたは、拙著「暗示型戦略」をお読みください。
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