初任リーダーの訓練

リーダーをやっていて楽しいという感覚が大事なんだというのが、私の主張です。

それを実感するには、ほめる訓練がとてもいいと思うわけです。

人をほめれば、相手もうれしいし、それに感謝でもされればこっちもうれしい。

ということで、リーダー初心者は、まず人をほめることから練習しましょう。

しかし、部下をどうやってほめようなどと肩肘張らなくてもいいのです。とりあえず、近くにいる人をほめましょう。家族でもいいし、子供でもいい。犬でもいい、というのはちと言いすぎですが。

そうそう、そういうことを言ったら、「ほめる相手がいなくて自分をほめました」という人が受講生の中にいました。

たいへんな創造力だと私はほめましたが、内心では困りましたね。

それは相手の反応を分析することもとても大事なことだからです。ですから、できればほかの人をほめてほしい。

■例
社内の後輩に宛名書きの書き方を教える立場の人がいました。注意をしないといけないと思っていた。

しかし、相手のプライドを傷つけないように言わないといけないと思い、なかなか言葉が出ない。

そこで、まずほめることからはじめました。

「字がとてもうまいと、お客様が感心していたよ」

「うそ、そんなはずないですよ」と相手は恥ずかしそう。でも嬉しそう。

 そこで
 
「もう少し大きな字で書いてあげたら、もっと喜ばれるよ」

「そうですね」

相手に注文をつけるときでも、まず相手のいいところをほめてあげる。

そうして認めると、聞く耳をもってくれるものです。

それから、ほめるとき、「お客様が」というのもよかった。

「とてもいい」という自分の意見を言う以外に、第三者の言葉を引用する褒め方もあるのです。

どうです。いろいろな褒め方があるのに気がついたでしょう。そういうものを適宜使い分ける。しかも、指導にもそういうものを入れていく。

みなさんんも、いろいろ試してください。こういうのは実践第一ですからね。

L研リーダースクールでは、初任リーダーのための研修講座があります。

実はこれはごく初歩的な訓練です。より高度な訓練は、これまで述べてきた相手の感受性を活用しながらほめるのです。ここまでできれば、もう立派な中堅リーダーですね。

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人間の行動基準は大ざっぱにいって10種類あります。それを頭に入れて、なおかつそのタイプを識別できれば、対人折衝ではとても役にたちます。

その基本的な考え方を示したものが、11月に発売予定の
『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える」(鳥影社)

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