暗示の基本型
上司に評価されずに悩んでいた同僚がEさんのところに相談にやってきました。このときEさんは聞き役に徹して、相手にできるだけ話をさせました。
これは話を聞くさいの定石です。実を言うと、話を聞くだけで、相手のストレスが解消されることはよくあるのです。
話をさせることで、すでに問題の90%ぐらいは解消しているケースが多い、と考えておいても間違いはないでしょう。
さて、話をよく聞いてあげてから、Eさんは同僚に言いました。
「あなたの提案がベースになって、新しい発想が生まれたことがあるじゃないですか」
これが基本型1の暗示です。これで同僚に希望がわきました。「言われてみればそうかな」と思ったのです。これで承認欲求も満たされたはずです。
Eさんはさらにつけ加えました。
「課長が文句を言うのは、あなたに期待しているからこそ。期待していなかったら無視するだけですよ」
このあと、同僚の声が明るくなり話題の内容が趣味のついてのことに変わりました。どうやら暗い気持ちがふっきれたようです。こうなったのは、自分に対する否定的な観念が覆ったからです。
以上は拙著『リーダー感覚――人を指導する喜び』の一部です。
実は、このケースのなかには、いろいろな指導原理が含まれています。簡単に書いてありますが、結構、奥が深いのですよ。人間心理を相当考えてあるのです。
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人間の行動基準は大ざっぱにいって10種類あります。それを頭に入れて、なおかつそのタイプを識別できれば、対人折衝ではとても役にたちます。
L研リーダースクール人間行動学基礎科
その基本的な考え方を示したものが、11月に発売予定の
『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える」(鳥影社)
この立読みを準備しました。一部ごらんいただけます。こちらから
L研リーダースクールでは人間を見る力を鍛えるリーダー研修を行っています。本と連動した研修講座になっています。こちらから