リーダーにとって人間を観る力(人間分析力)はなぜ必要か
リーダーにとって人間を観る力(人間分析力)はなぜ必要か、は当たり前のようなことですが……。
答えは、リーダーの定義が「ついてくる人がいる人」だからです。一人で仕事をやっている人は、リーダーの定義からはずれます。
言い換えれば、リーダーは、人に仕事をしてもらえないと困る立場なのです。
リーダーは、たとえどんなに優秀でも、自分だけでは仕事にならない、ということですね。
そこで、リーダーには次のような能力がもとめられます。
* 組織を動かす能力
* 個人を適切に動かす能力
* 担当する分野の専門知識
そのようなう能力と人間を観る能力とは、密接にかかわっております。
たとえば部下を指導するときには、指導スキルが必要なのは当然ですが、その前提として部下の特性を正しく評価できる眼がなければなりません。
そうでなければ、適切な指導などできないでしょう。
組織を動かそうとすれば、経営戦略、人材戦略、財務戦略などの知識が必要です。たとえば経営戦略でいえば、幸いにも昔に比べて、いろいろな戦略手法が世の中に普及しております。
けれども、私はちょっと待ってくれよ、と言いたいのです。
せっかくのよい戦略案も、人間がどう動くかをよく考えないと組織のなかで殺されてしまいます。
たとえば、リストラ策を考えたら、組織はものすごく抵抗します。どんなに戦略案が正しくても、それだけでは組織を変えることはできません。
ですから、どうしても人間を観る能力、いや人間の理解が必要なのです。
もちろん、リーダーといえども固有技術をないがしろにすることはできません。
固有技術とは営業課長なら営業のスキルであり、財務管理者なら財務の専門知識です。これらの知識や実践力が必要なのは当然のことです。
ただし、専門家としてならともかく、リーダーとしては、それだけでは機能しませんね。
やはり人間を観る力や人間に対する理解力が必要だと私は思います。
結局、組織や社会というのは人間が活動した結果なのです。たとえば金融マネジャーにいくら金融の専門知識があったとしても、株や金利が上がり下がりするのは、投資家の心理によるのです。
ですから、人間心理がわかっていなければ、より的確な判断ができるはずがありません。
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◆人間の感受性には大ざっぱに10種類ある
感受性とは、価値観といってもよいでしょう。たとえば、
・毀誉褒貶に敏感なタイプ(名誉にうるさい)
・好き嫌いに敏感なタイプ(感情的で好き嫌いだけに関心がある)
・合理性・現実性に敏感なタイプ(損得勘定にたけている。利害得失に敏感)
・闘争に敏感なタイプ(常に勝ち負けでものごとを考える)
・愛憎に敏感なタイプ(相手の愛や気持ちに敏感)
それぞれのタイプについては、より詳しい解説が必要ですが、これを知れば、どんな体型で、どんな体の強み、弱み(ある種の病気に弱いなど)がわかります。
それを頭に入れて相手のタイプを識別し、対人折衝にあたれば、指導は非常に効果的です。
これらについての概説は、新刊『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)にまとめておきましたので、ご一読ください。この立読みを準備しました。一部ごらんいただけます。こちらから
こちらの研修講座も参考にしてください。
こちらから