リーダーの人間行動学と伝動戦略

ある米国のコンサルタントの本を読んだことがあります。そこにこんな質問が出ていました。

子牛を目的地に誘導したいが、どうしたらよいだろうか?

牛のお尻を押すのは最悪です。子牛だって重たいのですから、そうそう簡単には押すことはできません。

答えは、子牛におしゃぶりをくわえさせ、おしゃぶりを引っ張る。こうすれば、いやでもついてくるそうです。

こういうのを‘誘導’というのでしょう。誘導は、善意で行うことも悪意で行うこともできます。

ですから、リーダーとしての立場を保つことを私はリーダーに求めます。

そのようなリーダーとしての注意事項を守るという前提に立って、『リーダーの人間行動学』にはポイントが3つあります。
第1は、人間を見る能力を高めること。
第2は、人間を育成するための‘誘導技術’を高めること。
第3は、組織行動を掌握するたもの技術を得ること。

第1のポイントは、人間を見る能力を高めることとは、相手の性格とか行動基準を見抜くことです。上の例でいえば、子牛に何を示せばいいか察知できる力をつけるということです。

第2のポイントは、相手にとってふさわしい指導方法を選択すること。つまり、子牛をどこに連れて行くかということです。

リーダー研究所では、毎月1回、西新宿で少人数の無料公開セミナー を行っています。今月は17日(金)の午後からです。セミナーでは、第1と第2の問題を扱っています。

ところで、この誘導的な技術ですが、個人だけでなく、組織戦略としても同様に使えると私は考えています。これは拙著『伝動戦略』にまとめております。

たとえば、最近やや話題になったTPP。

輸出に携わる商人たちや経済学者、経済誌は、しきりにTPPに加盟しない危機をあおっています。

一方、反対にまわるのは農業団体です。

もし、TPPを推進しようとしたら、農業団体は子牛に見立てられます。

もっとも、おしゃぶりだけ考えれば、手はいくらでもありますが、どういう立場で物事を考えるか、ということも、なかなか大事です。

私としてはここでは国民の立場で考えてみたいと思っています。国民の立場からすれば、農業の自給はどうしても確保されなければならないと思います。

異常気象が全世界的にますます厳しくなる傾向にあり、食糧の供給は世界的な関心事になると私は思っております。

政府は所得保障程度の「おしゃぶり」しか考えていないかもしれませんが、過去それで大失敗しております。きちんとした農業改革の立案と実施がなければあとでとがが来ると私は思います。


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『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)は第1のポイントを詳しく解説しています。

感受性について歴史上の人物分析を通して解説しています。営業折衝や対人折衝にとても役立ちます。この立読みを準備しました。一部ごらんいただけます。

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