リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える

長らくお待たせいたしておりました『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)ISBN978-4-86265-276-8ですが、ようやく販売近しになりました。

アマゾンでは14日(明日)から販売開始だそうです予約を受けています。名前が「直あき」になっているのがちょっと困るのですが……。

その他、私が調べたところ、bk1DMM.com,セブンネットショッピング(yahoo ブックス),e-hon,でも販売を開始しています(出荷待ちということですが)

紀伊國屋書店などの店頭販売は、あるいはネット書店より時間がかかるのかもしれません。分かり次第報告します。

少し紹介させていただきます。

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 釈迦は人を見て法を説くことができたとされる。相手の教養程度や性格を考えながら説法をされたのだろうが、考えてみれば釈迦のように一人ひとりの性格や能力に応じて指導を行えることこそ指導力の源泉といえるのではなかろうか。

 そこで、本書では、リーダーが部下一人ひとりの個性を的確に把握し、またそれに基づいて適切な指導ができるようにするためのアプローチを紹介していこうと思う。

 こうした指導ができるためには、リーダーは各人の個性を的確に分析できる人間理解力が必要になる。では、どうしたら我々は人間についてより深い理解力を得ることができるだろうか。私はこう考える。

 人間行動というのは、でたらめに起きるわけではない。背後には必ずその人独自の行動基準があり、人はそれに従って行動している。特に大事な場面ほどそうなる。行動基準とは究極的にはその人の価値観そのものでもあるのだ。したがって、我々はそれを素早く的確につかむ訓練をすればよいのである。これに関してはすでによい理論があるので、本書ではそれを紹介すると同時に、その理解を促すためのケースを用意している。

 次に、相手の行動基準を判断する場合に、注意しなければならない点があるので指摘しておこう。それは判断するさいに客観性を保つということである。

 相手の行動を判断する場合、「相手の立場になって考えよ」と忠告されることが多いが、私にいわせればこれはやや甘い考え方であり、また、たいへん誤解を招きやすいフレーズである。なぜならば、とかく人は相手の立場に身を置きながら、自分の行動基準で考えてしまうからである。

 正しくは相手の立場に身を置き、なおかつ相手の行動基準で考えることが必要である。この二つの条件が満たされないかぎり、なかなか客観的な分析や評価はできない。本書では、この点を理解するためのケースを用意している。


[目次]

はじめに

第一部 人間行動学の基本的な考え方を学ぶ
第一章 リーダーの人間行動学概論
1 指導のカスタマイズ
第二章 相手の行動から行動基準を考える訓練
1 探検家スコットの南極探検
2 スコットの行動分析
第三章 正常行動と異常行動を識別する訓練
1 乃木希典の不可解な行動
2 乃木の軍事行動

第二部 行動基準のパターンを学ぶ
第四章 行動基準パターンの基礎知識
1 体癖概論
2 体癖別の感受性
第五章 大村益次郎
1 神業のような作戦をたてる無愛想な司令官
第六章 ショパンとジョルジュ・サンド
1 正反対の二人が出会うまで
2 幸福な生活と離別
第七章 空海最澄
1 空海最澄の台頭
2 対立の火だね
3 空海の怒りと決断
4 交わることのない最澄空海の行動基準
第八章 実践応用へのヒント
1 幹部の評価を依頼される
2 元気になった先生

あとがき

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1 指導のカスタマイズ
指導力の源泉は個別対応能力
 以下は有名なジョークである。あとの方に質問があるので、読んでからお答えいただきたい。

 船が難破して、乗客がボートに乗り移ってきた。だが、ボートはこれ以上人を乗せることができない。誰かが海に飛び込んで岸まで泳がなければならない。どうやって説得するか。
 イギリス人にはこう言えばよい。
「ジェントルマンらしく振る舞ってくれ」
 ドイツ人にはこうだ。
「船長の命令である」
 イタリア人にはあえてこう言う。
「君は飛び込むな」
 アメリカ人にはどうか。簡単である。
「保険に入っているから大丈夫だ」
 そして、日本人にはこうなる。
「ほかの皆さんも飛び込んでいますよ」

★クイズ
 各国の国民性から、彼らがどんな行動基準をもっているのかを考えていただきたい。

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◆人間の感受性には大ざっぱに10種類ある

感受性とは、価値観といってもよいでしょう。たとえば、

・毀誉褒貶に敏感なタイプ(名誉にうるさい)
・好き嫌いに敏感なタイプ(感情的で好き嫌いだけに関心がある)
・合理性・現実性に敏感なタイプ(損得勘定にたけている。利害得失に敏感)
・闘争に敏感なタイプ(常に勝ち負けでものごとを考える)
・愛憎に敏感なタイプ(相手の愛や気持ちに敏感)

それぞれのタイプについては、より詳しい解説が必要ですが、これを知れば、どんな体型で、どんな体の強み、弱み(ある種の病気に弱いなど)がわかります。

それを頭に入のタイプを識別して、対人折衝にあたれば、指導は非常に効果的です。



これらについての概説は、新刊『リーダーの人間行動学――人間を見る力を鍛える』(鳥影社)にまとめておきましたので、ご一読ください。この立読みを準備しました。一部ごらんいただけます。こちらから