人間行動学の観点から、知の生産性を高めるには
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さて、本題に入ります。
これからの日本は高齢化社会、人口減社会に突入するわけですが、そのなかで生きていくためには、一人ひとりの生産性を高める必要があり、とりわけ『知』の生産性を高める必要があると思うわけです。
この点については、大方の賛同が得られると思いますが、経済界の人はすぐ産業政策と結びついてしまうようです。
つまり、「企業のグローバル化による成長確保と、それを後押しする社会システムの整備」ということに視点がいくようなのです。
煎じ詰めれば、貿易立国としてより一層の自由化を図る必要があるということなんでしょう。そして、それが生産性を高めるキーなのだと。
つまり、世界規模での競争に身を置くこと自体が、『知の生産性』を向上させるのだと考える人がいるようです。また、それに伴い、徹底した構造改革が生産性を引き上げるポイントになるとも考えているようです。
私は正直言って、素直には従えないところがあります。何をもって構造改革というのかわかりませんが、小泉時代の構造改革がはたして有効だったのか。小泉さんはもうこれ以上ダメだ、続けられれない、限界だと思ったから、さっさと下りたんだと、私は皮肉な目で見ているのですが。
それに、規制緩和だ、自由化だといっても、それに向かない分野は多々あります。たとえば、農業を単純に自由化して、それで大丈夫なのか。
気候変動が激しいいま、世界中が飢饉になったとき、国内農業が頼りにならなかったらどうにもなりません。素人目にはとても危ないように思います。
『知の生産性』を高めることについては異論はありませんが、問題は、それをどうやって達成するかのアプローチの違いだと思いますね。
私は人間行動学の観点から、経済界の常識とは少し違ったアプローチを考えております。
知の生産性を高めるためには、人間はどうなればいいのか。答えは簡単。自発性を発揮できる環境を用意することです。
人から強いられてやることはたかがしれています。自主性を発揮できれば、人間はだれでも最高の能力を発揮できる。
これはいまさら言うまでもないことです。ですから、その環境をどんどんつくればいい。
社会的な仕組みからいえば、道州制です。中央ではなく地方にお金の使い方を任せた方が、絶対よい使い方ができるはずです。これも自発性の発揮です。
農業分野はほとんど考えたことがないので、はなはだ無責任な言い方ですが、いままでと違ったアプローチで知恵を出せばやれるような気がします。
私の視点はより強い者を選び弱い者を捨てるという変革ではなく、より自発性を活かせる環境整備、体制整備ということです。そのための規制緩和なら賛成です。
企業のなかでも社員の自発性が発揮できるマネジメントができればいいのですが、そのあたりはリーダーのみなさんに工夫していただきたいですね。
参考になるかどうかわかりませんが、拙著『リーダー感覚』をお読みください。