スキルだけでは限界があるリーダーシップ

コミュニケーションスキルなどを教えている身ですが、スキルだけではどうにもならないと思うことがよくあります。

コミュニケーションというのは、結局は人間と人間の関係。

となると、ベーシックな人間的な力が大きく影響するのは当然でしょう。

たとえば、言葉づかいが乱暴だとしても、本当は心根が優しい人なのだとわかっていたら、部下はついてくるでしょう。

その逆に、どんなにスキルがすごくて、才能があっても、自己中心のリーダーには、最後は人は離れていくのではないでしょうか。

前者の代表例はホンダの本田さん。

本田さんは激情家なので、ガンガン怒ってしまうのです。しかし、あとで冷静になると、相手も悪気があって失敗したわけではない、言い過ぎたなと思ってしまう。
 
それで、悪かったなあという顔になってしまうのだそうです。すると怒られたほうもホッとするところがあったようです。
 
また、あるとき、本田さん自身が車の試運転をサーキットで行っていると、タイヤがはずれるという事故が起きました。下手をすれば命にかかわる事故です。担当者はあおい顔でやってきました。
 
ところが、本田さんは全然怒らず、別の話をしたそうです。問題が深刻で、相手も悪いとわかっているとき、あえて怒らなかったのです。

人のことを怒っても愛されるのはたいしたものですね。

たぶん、その人の根底に人間としての優しさがあるからでしょう。

冷たい人に対しては人は去って行きます。

自分のことばかり考えて、人のことに関心をもたないリーダーについていく部下はそう多くないでしょう。