反骨を期待する「叱る」指導が成功しないとき
星野さんが中日の監督をしていたとき、阪神と対戦するのはたいへん楽だったそうです。先に二、三点とったら、それでもうあきらめてしまうからです。
阪神の選手たちは覇気がなく、相手の選手に罵声を浴びせられると言い返すこともできず、ファンから理不尽なヤジを受けても、睨み返すことすらできませんでした。
なぜ選手たちがそうなったのか。星野さんは、一貫性のないチームづくりの結果であると結論づけています(7)。
阪神球団は、監督やコーチが次々と代わるため、そのたびに育成方針や管理方針が変わりました。そして、指導者からは次々と管理と抑圧がかかりました。そのために、選手は一方的に受身になり、自分たちの感性や主体性を見失ってしまっていたと、星野さんは分析しています。
星野さんがこのことに確信を抱いたのは、実戦形式の練習のときだそうです。サインで縛っているとき、選手の働きは凡庸でした。ところが、ノーサインで自分の考えや判断で打たせてみると、実に闊達(かったつ)にのびのびと打ったり走ったりするのだそうです。
こういう選手たちに、野村(星野さんの前任)流のシンキング・ベースボールをいきなり実施することがよかったかどうか。
それから、選手の反骨精神を期待して、選手を叱ったり批判することが、はたしてよかったかどうか。
このあたりがポイントになりそうです。
『リーダー感覚』より引用
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