欠点を指摘する訓練

 リーダー感覚を実感するには、指導する楽しさを感じるのがいちばんよいと、私は思っています。その点、人をほめる行為は、相手が喜ぶことが多いですし自分も楽しい。それで、これが訓練の基本になると思うわけです。

 これに対して欠点を指摘するのは、非常に難しいものです。なぜならば、それによって非常に反発したり、逆に大きく落ち込んでしまう人が出てくるからです。

 そういう理由から、私は欠点を指摘する訓練や叱る訓練を、最高に高度な高等訓練と位置づけました。

 ところで、叱り方を解説しているリーダー関係の本を読むと、部下をいろいろなタイプに分類し、そのタイプ別に叱る方法を示したものがかなりあります。

 たとえば、すぐ反発するタイプには、データを示しながら説明して叱る。また、叱られるとすぐ内向してしまうタイプには、まず認めてから叱る、といった具合です。

 なるほど、それは一理あるなと思います。しかし、本当にそのとおりやってうまくいくかというと、多分無理だろうなと私は思います。

別に、その本が間違ったことを書いているというのではありませんよ。なぜ、私がそう考えるかというと、対人関係というのは、自分と相手がペアになってつくる固有のものだからです。相手のことばかり考えていては片手落ちということです。

 すぐ反発するタイプにはデータを示せばよいといっても、極端な話、ふだんから勘だけに頼っているリーダーが、あわててデータで説得しようとしても到底無理な話です。そういう彼我の関係を常に考えないと、実践ではなかなか通用しないと思うわけです。


『リーダー感覚』より引用
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