欠点を指摘してもよい条件

 欠点を指摘しても反発が起きないようにするためには、まず言葉づかいという技術的な問題があります(ここでは暗示というスキルを使います)。

もちろん、両者の関係にふさわしい言葉を選ぶのは、言うまでもありません。これは本書を読んでこられたかたには、容易に想像がつくでしょう。

 それから、相手が納得するかどうかは、リーダーの人格が大きな影響を与えます。

相手を納得させるにふさわしい人格をリーダーが有していないと、相手は素直に話を聞きません。ちゃらんぽらんなリーダーのいうことを、誰が聞くものですか。

 さらに、相手との信頼関係がしっかりできていなければなりません。そうでないと、なかなか欠点の指摘できません。

あまり親しくない人に欠点を指摘されたら、腹を立てるか、それとも「何も知らないくせに」と無視されるかのどちらかではないでしょうか。

 それから、特に相手の心理状態を見極めることが重要になります。性格ではなく心理状態です。たとえば、落ち込んでいるときに叱ったらますますガックリくるだけです。

 もちろん、相手の性格といった問題もあります。相手を選んで、欠点を示したり叱らないといけないのは常識です。

 昔、ONが現役で活躍していたころ、川上監督は、長嶋さんを特に選んで叱っていました。長嶋さんは叱られてもあっけらかんとしていて、あとにひかないタイプだからです。

ところが、川上監督は、王さんを絶対叱らなかったそうです。それは、王さんが叱られると考え込むタイプだからです。それで、長嶋さんが叱られると、チームメートも気を引き締めたのです。長嶋さんは、みんなを代表して怒られていたわけですね。

『リーダー感覚』より引用
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