手段とゴールの混同は危ない

TPPに参加するかどうか、政府はもめていますが、これをコミュニケーションの観点からすると、おかしなことだらけです。

これは、L研リーダースクールの高等コミュニケーション科の内容と関係しますね。

ちなみに、高等コミュニケーション科では、ゴールの設定と、そこに至るプロセスの構築こそ、
チーム運営者にとって大事なコミュニケーション技術であると定義しています。

そのゴールの設定ですが、手段をゴールとみてしまうことが時々あります。
これをごっちゃにしてはいけない。
TPPはこれが問題です。

いうまでもなく、TTPは国民経済を豊かにするための手段にしかすぎません。
ですから、その上位概念であるゴールがわからないといけません。

では、その具体的なゴールとは? 目標とは?
つまり、国家をどの方向にもっていくと考えているのか?

それがなければ、手段としてのTTPに何を求めるべきかわかるはずがありません。

その国家目標に対して、農業の位置づけはどうなるのか?
どのような対策を用意すべきか?
何を守り、何を捨てるか?

これが思考の順序というものです。

ところが、いくら待ってもこのあたりが全然政府から出てこない。

なんのことはない、大元のところがちっとも決まっていないのです。
少なくとも、そういう不信が国民には生まれていると思います。

これで、決断なんかするのは頭がおかしいとしか思えない。

それができると思っている野田首相は、ゴールと手段を間違えているとしかいえない。

話を高等コミュニケーション科に戻しますが、
ここでの授業は、チーム運営を円滑に進めるための方法論です。

この内容として三つの側面があります。

1)チームのゴール設定
2)ゴール設定のためのプロセスの提示(実施計画)

つまり戦略づくりということです。
これが大本ですが、それに付け加えるとすると、

3)戦略遂行のための行動のスタート です。

私自身は、ゴール設定なんか簡単だと思っていたのです。
しかし、ゴール設定のないまま、TPPで動き出す人がいるのを見て、
どうもそうではないようだ、というのが私の最近の印象です。

TPPで何を求めるのか、あいかわらずさっぱり要領を得ません。

その点、アメリカの方は、はっきりしています。
日本の非関税障壁を撤廃したいのが、はっきりしてきました。

二国間協議でうまくいかないから、多国間の土俵を用意してきたということ。

一方、日本は輸出を増やそうということでしょうが、そんなにうまくはいかないでしょう。

アメリカでは、現地生産が進んでいるので、あまり意味がないでしょう。
アジアでは、大手の参加国がいない。
韓国と中国が入ってきたとしても、ずっと先でしょう。
その間は、アメリカに農業など24分野で食われる一方。
何をやろうというのでしょう。

日本のリーダーのなかで、最も弱いのは高等コミュニケーションの部分らしい。
このごろはそう思いだしています。

怖ろしいことです。戦略的センス、戦略眼がなさすぎです。
トップマネジメントがいちばん弱いということですから。

どうやったら、高等コミュニケーション科をうまくもっていけるか、悩みますねえ。

とりあえずは、拙著『先見力訓練法』『伝動戦略』『暗示型戦略』を読んでいてくださいね。

そこから先、どうしようか。

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