コミュニケーションの元点人間を見る力をいかにしてつけるか
L研リーダースクールでは、人間を分析するフレームワークを以下のように定義しています。
1)人間の行動パターン(感受性と呼びます)10種類を頭に叩き込むこと
2)対象となる人物がどのパターンに属するのか適格に判断する能力を高める。
いつもお話ししている例をまた出します(拙著『リーダーの人間行動学』からの引用)。船が座礁してしまい、乗客は救命ボートに乗り移ろうとしました。ところが、人数が多すぎて、何人かは岸まで泳いでいかなければなりません。どうやって説得するか。
イギリス人には
「ジェントルマンらしく行動してくれ」
ドイツ人には
「船長の命令である」
イタリア人には
「君は飛び込むな」
アメリカ人には
「保険に入っているから大丈夫」
日本人には
「みなさん、泳いでいますよ」
傑作なジョークですよね。いつも笑ってしまいます。
しかし、これはなかなか含蓄のあるジョークでもあります。つまり、人間は何によって動かされるかということなんです。
結局、人間はすべて合理的に行動しているのです。ただ、その合理性が他の人と一致しないだけなのだと思います。
その合理性とは、結局のところ価値観といえます。何を大事にしているか、ということです。
イギリス人は社会的名声をとても大事にしている。
日本人は、組織の中での調和を重視しています。
これは人間の価値観の類型です。ですから、日本人のなかにも、イギリス人的価値観やアメリカ人的価値観をもっている人が当然おります。
ですから、説得のためにコミュニケーションを行おうとするとき、相手の価値観をしっかり認識しないと、まるで外国語で話しかけるようなことになりますね。
この価値観を勉強するには感受性を勉強するのがよいのですが、それには歴史上の人物を分析する方法があります。
歴史上の人物には極めて強い個性をもっている人が多く、そのため特徴がはっきりでやすく、人間分析が比較的容易です。したがって、勉強材料としてとてもよいのです。
佐藤直曉著『リーダーの人間行動学』では、人間の行動基準パターンとその理論を紹介しながら、歴史上の人物の行動分析を行っています。
扱っている人物は、南極探検家スコット、乃木希典、空海と最澄、ショパンとジョルジュサンドです。 いずれも、極めてユニークな個性の持ち主ですので、特徴がわかりやすく、理解しやすくなっています。
各人物には、それぞれ質問を用意してありますので、読者はそれを考えれば、一層人間分析の意味が理解できるでしょう。
さて、本日は織田信長についての分析を合同会社リーダー研究所のFacebookページでファンになってくださった方に提供いたします。
原稿用紙で76枚程度の分量です。
ePub形式で縦書きでご覧になれます。従来のものよりかなりきれいです。iPad,iPhone,Androidでも閲覧できます。