リーダーシップのための先見力訓練

先見力と一応呼んでいますが、これは物事を統合的にとらえる力もつけます。その方がメリットがあるかもしれません。難しいテーマですが、研究の価値はおおいにあります。便宜的にここでは先見力と呼びます。

先見力をつけるために、私は以下の4つのポイントをあげております。

第一は、「兆し」というものを理解し活用することです。兆しを理解するには社会における深層潮流の動きと表層潮流の動き、また両者の不調和を理解すること、あるいは二つの潮流を認識し、両者の距離を正確に把握することが重要です。

たとえば、社会システムの分散化傾向は近年ますます加速しています。アマゾンに見られるような、ロングテールの市場を容易に捕捉することができるようになったのも、ネットの時代の特徴といえます。

単にネットだけでなく、分散化はいたるところで見受けられます。そして、それとは逆に流れている表層潮流――集中化――との対立はますます激しさを増しています。

橋本大阪市長の主張する大阪都構想、あるいは道州制もそうですし、いま非常に問題となっている原発再稼働問題もエネルギーの地域独占体制という表層潮流に対する分散化を求める深層潮流との不調和といえるでしょう。

第二は、対立の分析です。社会的システムでは、深層潮流と表層潮流の対立が激しくなると対立が激化します。その対立がどのような形で帰結するのかを推理しなければいけません。対立にはいくつかのパターンがありますから、それを頭に入れておくと便利です。

第三は、社会的システムの形態変化を研究することです。システムのアウトプットに変化が生じているときには、サブシステムに変化が生じています。その動きを確実に捉えることが必要です。――このあたりを戦略に利用するのが拙著伝動戦略です。

第四は、社会的システムにかかわる人間行動の理解です。これは二つあって、一つは個人のミクロ的とも言える行動パターン。もう一つは組織としての行動です。これについては組織行動学として考えています。これについては組織行動の力学を参照してください。

以上の解説と、先見力を日ごろ訓練する方法を拙著『先見力訓練法』にまとめてあります。なお、この本はすでに在庫切れで、著者の保有在庫もあと20部程度しかありませんので、お求めを希望される方は、こちらを参照してください。

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